地域医療振興協会1年目レジデントの、当施設初めての1ヶ月研修を受け入れました。
どうプログラムを組むか考えました。いぶきに昨年から今年5月まで赴任していた二人の若い先生に、初めから外来や老健を任せてしまって、米原市伊吹地区という地域背景を見せずに働いてもらったことをとても反省しており、それを踏まえて、以下のプログラムを立てました。
@研修のプログラムとして、
第1週は、「地域を知ろう」
第2週は、「地域のリソースを知ろう」
第3週は、「ケアセンターのリソースを知ろう」
第4週、第5週は、「自分のやりたいことを見つけ出し取り組もう」
Aいぶきでの基本方針
1)病院ではできないことを学んでもらう
2)医術・医学は教えない
3)『地域で医療を行うことの楽しさ』を実感してもらう (次につながるように)
以上、畑野・中村
横須賀市立うわまち病院研修医 HF
■ 7月2日
午前
午後
夕方〜夜
移動
事務長さんに迎えにきもらう
・ 近郊の施設案内
・ 車で遠方の施設案内
(診療所含む)・往診(3人)
ひたすら寝る
いぶきに到着後、事務長さんと近辺を歩いて散策して、近くにいろんな施設(社協の施設、作業所、幼稚園、薬草の里文化センター(ジョイいぶき、薬草風呂)、ホッケーのグラウンドなど)があることを知り、先生が校医やスポーツドクターまでこなしておられるというお話をきく。車で伊吹の里という道の駅に立ちより、ミルクファームで事務長さんにアイスをご馳走になったあと、4つの診療所やダム、甲津原の案内をしていただいた。
こうして地域を紹介していただいたおかげで、よりこの地域に興味をもつことができた。帰りに電話があり、先生に急用ができて代わりに往診に行ってほしいということで、 看護師の方2人と私で往診に行くことになった。学生のときに往診に同行した記憶はあるが、いざ自分が診るとなると何をしてよいやら・・・ 「先生、血圧測って聴診くらいはしてくださいね」と看護師さんのいわれるままに。看護師の方たちは患者さんのことは何でも知っておられ、いうとおりに動いていれば往診は完了した。 医師は特にいなくても他のスタッフのおかげで地域医療はまわるんだよーとあとから先生に言われたが、本当にそうだなあと思った。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・しっかり事務長さんからお話きけた
・往診先であわてずふるまえた
・初対面できっちり挨拶できなかった人がいた
B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・謙虚な気持ちを忘れずに、1人1人の人との出会いを大切にしたい
・往診、あのペースでゆっくりなら普段はもっと忙しそう・・・・ケアセンターの運営面に興味をもった
・スタッフ・患者の満足度はどうか
■ 7月3日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
デイケア
七夕祭りのため笛の練習
この2日はデイケア(通所リハビリテーション)にお世話になった。デイの1日の流れは、利用者さんを9時頃お家まで迎えに行って、個別リハビリをしてお昼をたべ、お昼寝後に体操やゲームをしておやつを食べ、15時半すぎから送り届けるというもの。となりの社協には入浴サービスがあるそうだが、こちらでは個別リハビリに特化して行っていた。そのため利用者さんは脳梗塞や整形疾患の方が多い。日によって利用者さんの雰囲気は違うが、たいがい皆さんリハビリへのモチベーションが高い方が多く、明るい。デイの主任さんは「利用者さんを1日に最低1回でも笑顔にできるように心がけている」とおっしゃっていた。実際彼の周りには笑顔がたくさんできていた。また、認知症がなくしっかりされている方が多いのであまり幼稚なことをするのもはばかられる、とのことであった。
私にとってはデイケアで実習は初めてで、毎日12-18人の利用者さんがきて職員1人あたり3−4人を担当して様子をみているのにびっくりした。利用者さんの様子が少し違うときちんと対応されていて、こんなにきめこまかくみているとは知らなかった。この週のレクリエーションは「すきやきじゃんけん」。 職員とのじゃんけんに勝った人がすきやきの具の書いた紙をひいて(なかにはダミーも)、あとでチームごとに得た食材の点数をつけて競う。牛肉は100点、みかんはマイナス20点など。利用者の方にお話をきいてみるとつらい後遺症の話をしてくださって勉強になった。人によって得た情報がちがうので、1日の最後のミーティングで1人1人についての情報を発表、共有していた。初めてみる自分にはわからないことだらけで、継続的にみていくことが大事なんだなと思った
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・利用者さんの思い、介護士さんの思いをきくことができた
・利用者さんへの自己紹介で、声が小さくなった
・しびれ、眼痛、頭重感の利用者さんがおられた。神経所見とりそびれていた。B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・自分がやりたいことをやる
・変にがんばったり、我慢しない・明日のデイではどのようなリハビリを受けているかみてみたい
■ 7月4日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
デイケア
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・血圧をしっかり自信をもって測れた
・リハビリがどうなっているのか・送迎の助手席で寝てしまった
B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・職員の方はご家族のことや性格面についても把握しておられて、はじめの切り口として病気のことばっかり聞いている自分にハッとした。
・病気については把握できたけど、家族のことまで把握できていなかった。
・スタッフが家族のことをいろいろ聞いて、話しながら泣いてしまっている利用者さんがいるが、それでいいのだろうか。泣く場があるのっていうのも大事なんだろうけど、せめてデイでは楽しんでもらってもいいだろうし‥。・今の状態でもちろんよい面もたくさんあるが、どうしたらさらによりよいデイになるか考える
■ 7月5日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
伊吹診療所外来
この日も午前はデイケア。 やはりまた今日も雰囲気が違う。
午後は初めて診療所外来を担当した。木曜は先生が講演に行かれるということで、私の方で2時間半の枠で、4人前後くらいの患者さんをみていくことになった。 いつもの検査結果をききに来た人、風邪の若い女性、高血圧の薬をもらいにきた人、そして最後にハチにさされた人が来られた。ショックではなかったのでよかったが、看護師の方から先生に連絡してもらったところ、ショックの既往のある方だったので念のためステロイドの点滴をしてもらった方がよいということで、点滴した後に帰ってもらった。診療中の空き時間は看護師さんと事務の方とコーヒーで一服していた。まだまだ看護師の方に聞きながら薬も考えている状況だが、こういう人がきたらこういうスタイルで診察するというのを徐々につくりあげていきたいと思う。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・外来、無事終えられた
・外来で風邪の患者さんののどの所見を診察し忘れた
・判定会に出席するが、寝てしまう(誰のことか文字だけではイメージがわきにくい←いいわけ)B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・紙カルテはひさしぶりだった ・外来で地元の話題をどうおりまぜたらよいか
・まずはしっかり地域に詳しくなる
・風邪の人の問診セットをつくる
■ 7月6日
午前
午後
夕方〜夜
地域研修
地域研修
(七夕祭りのため笛の練習)
今週1週間は地域を知るために、以下の地域オリエンテーリングの課題を出された。今日は地域研修ということで車を貸しだされ、@A以外をこなしてきた。
【課題】
@甲津原で手作りシフォンケーキを食べる
A伊吹山山頂で、ダニエル君と写真を撮る
B伊吹『旬彩の森』で足湯に入る
C大清水 泉神社の名水を持ち帰る
D伊吹山3合目のユウスゲの写真を撮ってくる
E大久保 長尾寺のパンフレットを持ち帰る
F春照 吉田精肉店のコロッケを買ってくる
G琵琶湖の写真を撮る
H伊吹牛乳を飲む
I関が原古戦場の写真を撮ってくる
以上を1週間以内にクリアすること。
できれば地域の人たちに先生方の評判を聞いてみてください。
Fのコロッケを頼んでいたら、表玄関から先生が往診にこられて家の中で遭遇した。 地域をまわっている間に出会った地域の人たちに先生方の評判をきいてみたのだが、みなさん「優しい先生やで。みたてもいいで。」ということで、地域の方に愛されていることがよくわかった。
@今日できたこと、うまくいったこと A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・しっかり話をきけた
・地域を車で走り回り、地名もだいたい覚えられてきた。・夕方リコーダーの練習に出るはずが、寝過ぎて出られなかった
B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・道をきくと優しく教えてもらえて、ここはとにかく人があったかくて何よりだと思う。
・時間をつくって勉強していく
→スタッフルームに移動した方がいいのか・もっと職員の人1人ずつとからむ
■7月7日
七夕には老健で七夕のお祭りがあり、幼稚園のお母さんとお子さんたち、看護師・介護士の有志のみなさんでいろいろな歌をコーラスや楽器で披露されていた。リコーダー演奏に加わってきた。入所者の方が昔の歌を歌うときには、先生が「この人のこんな顔みたことなかったで」というほど、明るい表情をされておられたようだ。
■ 7月9日
午前
午後
夕方〜夜
外来看護
往診
焼き肉パーティ
午前は外来看護で点滴のルートとり、注射、初診の患者さんの問診とりを行った。月曜にしては少なめということで、落ち着いていた。
午後は往診に9軒のおうちをまわった。なかにはいぶき最高齢、102歳の方も! 基本的に往診に行っている人は「よく在宅でみているあ・・」という状態の人が多い。先日のコロッケ屋さんもそのおうちのひとつ。今日は表から往診して、先生白衣似合うやんと言われ、嬉しかった。在宅医療は本人が家にいたいという意志と、ご家族の尽力あってのことだが、医師が24時間体制で支えておられるこの地区でないととまずなかなかできないことだと思う。
夜は私がこれから泊まることになる住宅での事務方の方々主催の焼き肉パーティを開いていただいた。今回研修医の1ヶ月に及ぶ受け入れが初めてで、いままではケアセンター内の老健の家族室やセンター長室の部屋に研修医は寝ていた。 10日から元は料理屋さんだったお宅の住居部分の1階に住むことになった。洗濯機、冷蔵庫、レンジなど完備されていて、生活には困らない。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・問診、しっかりできた
・往診を楽しめた
・血圧測定(往診時)
・点滴のルートはテープの止め方が違うのでとまどうが、看護師の方に教えてもらって無事完了
・エコーB今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・都会育ちの部分もある自分に、この環境で働く自信があるか、正直まだわからないが、とてもいい人たちに囲まれて楽しい
・エコー
■ 7月10日
午前
午後
夕方〜夜
訪問入浴
音楽療法
今日はとなりの社協の施設に1日お世話になることになった。
午前は訪問入浴をみせていただいた。 訪問入浴はバスタブを真ん中で真っ二つに割って車の後ろに積んで、ベッドの横で組み立てて外の蛇口から水道をひいてきて、車の湯沸かし器で湯をわかし、排水も排水口までホースでつないで行う。時間は45分程度。もともとデイサービスでの入浴が使えないくらいの状態の人が訪問入浴を利用されることが多く、状態が変わることが多いのが介護士の方にとっては怖いのだとか。入浴後すぐではないが、入浴したその日に病院に入院になっていた人もいるそうだ。 血圧、脈拍、体温を入浴前後に測り、医師との間できめた限界値を超えたり、様子がおかしいときにはすぐに医師に連絡をとっておられるという。介護士の方はちょっとした皮疹にも気づいておられて、「先生これはカンジダ性皮膚炎ですよね?」と同意を求められたが、正直のところよくわからなかった。
午後はあったかほーむ「かせの」で、音楽療法を取り入れている地域支援事業「こころ」をみせていただいた。 10時から15時の時間のうち午後の2時間程度、月に2回、音楽療法士が行っている。
滋賀県には音楽療法士の方は20人程度、実際活動できているのは10人程度ということで、滋賀ではこちらの山東町とよばれた地区で初めて音楽療法がスタートしたとのこと。
音楽療法士の方は季節の歌を選び、幼少時代雨ふりのときにしていたであろう遊び道具としておじゃみ(お手玉)やメンコを持ってきて、リクエストに応じて懐かしの歌もセレクトる・・など回想法を用いていた。また新しい楽器を紹介し、くりかえしその新しい楽器の名前を確認しては短期記憶の訓練をするなどいろいろな試みをされていた。
音楽療法をみていると表情や言動がいきいきとしていて、確実に高齢者の方にいい影響があると思われるが、いったいどのような効能があるのか、量的に測ることが難しくエビデンスをとれずにいて、医療の現場ではなかなか受け入れられていないとのこと。なんとかもっと増やせないものかなーと思う。
1日のまとめとして、社協の職員さんに医師に求めるものについてきいてみた。
「患者さんのそばにいること」「医学的なことだけでなく、生活背景まで診られること」
いぶきの先生は2名とも、「ヘルパーさんに患者さんのここ注意してみといてもらいたい」などと頼みに社協にふらっと現れることがあるらしく、地域で訪問している利用者さん全員について医師、看護、福祉で共有するカンファレンスも月1回開かれている。そういった十分なコミュニケーション、敷居の低さが地域での医療と福祉の連携に求められているのだと思う。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・しっかり社協で挨拶できた
・社協の所長さん、訪問入浴の介護士の方、音楽療法士の森田さんにお話をしっかりきくことができた。
・市町村合併の混乱について聞くことができた・質問攻めにしすぎた? B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・生活をみる医師が地域ではもとめられている
・家で痛いとしか言わない人が、あったかほーむかせのでは自分のキャラクターを発揮できている。
・水虫、カンジダなどの皮膚疾患をしっかり介護士の方がみておられる・合併前に、山東、伊吹のそれぞれの地区でもともとどに福祉分野が得意だったのか
・どうやったら音楽療法のEBMができるのか
■ 7月11日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
ほほえみ
午前はデイ(通所リハビリテーション)。12人の方のバイタルサイン(血圧、脈拍など)をとって体調を聞く作業にもなれてきた。先週会った人たちなのでかなり気が楽だ。 しかし1週間ぶりに会った利用者さんに、「新しい家の住み心地はどう?」と聞かれて面食らう。研修医が元料理屋に住むことになったのをどこからか聞いたらしい。いやー、噂がまわるのが速いこと。
午後はNPO法人「ほほえみ」(小規模多機能型デイサービス)を見学させていただいた。 60代の女性3人が2005年11月に立ち上げた施設で、中心となってつくった方が認知症のお義母さんをみていた経験から一念発起され、経営しておられた民宿を改築してつくられた。1年前から自閉症などの障害児の受け入れも行っている。
一回の利用者は老人の場合は6−10人ほど。看護師1人、介護、事務などのスタッフが4名いる。大きな通所サービスとの違いは、一人一人こまかくみられることだそうだ。 また、ここではお昼を調理師の方がきてつくっている。大きな部屋が2部屋あるので子供と老人を同じ日に受け入れることも可能だそうで、そのときは料理をつくるところを子供もお年寄りもいっしょにみて食事もいっしょにとるそうだ。状態のいい人はごますりなどを手伝ったりできる。
ここには歯科衛生士さんが来られていて口腔ケアをしているのも他のところではみられない点だった。利用者も職員も家族のような、家庭的なところだった。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・先週みていた利用者さんを把握できていたので、だいたい様子をみることができた。
・ほほえみで質問攻めにしすぎた?
・わからない歌のところで眠くなった
・デイでリハビリ前に血圧を1人測れなかったB今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・いぶきになじんできた ・明日までにDMの勉強(明日のデイにDMのデイ初利用者がくる)
・福祉制度の勉強
・エコー
・診断学
■7月12日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
診療所
老健の勉強会
食事会
午前はデイ。利用者さんが12人から15人に増えただけで血圧測定が1時間仕事になってしまった。午前はその記録をしたらほぼ終わってしまった。
今日は新しい利用者さんが来られるということで、スタッフの方は少し緊張していた。その方は右目が角膜ヘルペスのため手動弁(手が動くのがみえるくらい)、左目が緑内障で0.2ということであるが、ものの配置を指示すればご飯も一人でお食べになる。 利用者さんが慣れない環境に不安を訴えておられたのをいいことにお話をきかせてもらった。その方はいぶきにあるセメント工場に40年間勤めていたので、セメントの作り方を教えてもらった。
午後は診療所での診察。6人の患者さんがみえた。ほとんどが高血圧の患者さんで、薬を希望している人。先生がいなくて私の代診になることをお話するが、「別に誰に診てもらってもかまわない」との返事が続く。そりゃ誰が診たって同じ薬を出してくれれば事足りるのでしょうがないけど、将来は「先生に診てもらいたい」と言ってもらえるようになれたらいいなあ。
一人だけ「もう薬要らないんですけど」といわれてなんと対応したらよいか困った。高血圧の薬がきれて10日になるのに、今日の血圧は120台。本当に要らないのか?
よくよくお話をきくとここ数日はあまっていた薬を発見して飲んでいたとのこと。やっぱり心配だから飲んでおきましょうと無理やり説得した。うーん、動機づけるのって難しい。
ほほえみに昨日こられていた認知症の方が診療所に患者さんとしてこられた。昨日私もほほえみにいたんですよーといっても覚えていなかった。「便秘のお薬だしてください」「お薬だしますよ」のやりとりを3回くらいした。さらにお帰りの際、受付でも「お薬でてますか?」なんともほほえましい。
ケアセンターに帰ってから老健の勉強会に参加する。老健は4つのユニットで成り立っており、毎月の定例会の際に勉強会を催して、1つのユニットごとに担当している。 今回のテーマは薬についてであった。下剤、鎮痛薬、ステロイド、パーキンソンの薬など老健の利用者が使いそうな薬をピックアップして、現物をボードに貼ったものを見せながら、パワポで説明していた。皆さん勉強熱心だ。
夜は七夕祭りでリコーダーを吹いたメンバーを中心に食事会があった。ここのケアセンターは本当に立ち上げ時の1年間ずっと忙しくて、つらいこともたくさんあったようだった。先生には「去年実習にきてたらこんなに相手できんかったで」といわれた。なぜ今回の研修で地域のリソースをこんなに見せてくださり、医師っぽい仕事を早期に多くはさせないかというのは、以前実習を受け入れた際の経験を踏まえて試行錯誤されたうえでのことだとわかった。 研修医にはまず地域全体をみせて医療一辺倒にならないように気をつけておられるという。あらためて今回の研修はいましかできない貴重な体験だと思う。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・デイで初めてきた人にきちんと対応、話をきいたりできた。
・診療所、楽しめた・診療についてもっと医学的な議論ができなかったか。以前の状態について質問できたはず。 B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・薬のコンプライアンスの悪い人向けの行動療法について
■7月13日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
デイケア
一日ずっとデイ。送迎にも行かせてもらう。バスがどこを走っているか、だいたい分かるようになった。看護師の人がもう一人いてくださったので、血圧測定がだいぶ楽になった。金曜日のデイは初めてだったが、また全然雰囲気が違う。人間関係って人が一人いるかいないかだけでもぐんと変わってくる。不思議なものだ。 お昼の食前体操を担当させてもらった。
今日は一日デイにいられるということで、落ち着いている3人の利用者さんの担当をした。3人とも仲良しな他の利用者さんとのおしゃべりに夢中で、せっかく楽しんでいるのに割って入るのもはばかられる一方、何か変わったことがないのか、状態の把握はしなければならない。入っていくタイミングが難しい。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・利用者さんの爪を切れた
・食前体操・もっと担当した人と話ができたかもしれない B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・デイになじんできた ・福祉のシステム
□これまでの研修目標達成できたか
・地域を知ることができた(花の名前はこれから)
・保健・福祉・医療の連携についてはよく学んでいる
・学びたいこと(福祉制度、リハビリ、問診、鑑別診断など)を少しずつ学んでいるが、リソースはたくさんあるのでもっと人にきくなりしてやっていく。
□できなかったこと
・初対面で、きっちりあいさつできなかった人がいた
・(特に最初の一週間)休憩時間に寝すぎてしまうことが多かった
・血圧が測れないことがあった(とくに往診時)
・診療所の診察に備えて、この主訴の人がきたらこう診察するという体系的な勉強をしようと思ったが、本をパラパラながめる程度に終わった
・腹部エコーに久し振りにさわらせてもらったら、それぞれの部位での画像の出し方を忘れていた
□今後学びたい内容・課題
・リハビリ、栄養、薬剤、訪問看護の実習
・福祉サービスの種類を整理し、理解する
・その人にとっての最適な福祉サービスをどう決めているのかを知る(ケアマネージャーの役割)
・ある人がどうやって老健に入ってくるか、流れを理解する/できれば実調につきそう
・腹部エコーをポイントをおさえながら像を出せるようにする
・23日の職員向けAED講習会、5−10分でわかりやすく伝えられるようにする
・空き時間があればしっかりふりかえり、できれば本を読むなどして勉強する。
(・褥瘡の処置の仕方 ― 次回の2ヶ月間の研修でも可)
□うけたい評価、フィードバック
・いぶきから得るばかりでなく、何か研修医として役立てていることがあるか
■7月17日
午前
午後
夕方〜夜
リハビリ
栄養
外来、デイの人が入れ替わり立ち替わり中、何も指示されなくでも黙々と機械をつかって運動している人たちがいた。 パワーリハビリといって、以前社協で一般に開放して使えるようになっていた運動器具が、市町村合併の混乱の中ケアセンターにもらわれていった名残で、一般の方が使いにこられる。 といっても、月に1度くらいは定期受診し、あらかじめリハビリのメニューを組んでもらってから始められるもの。1回につき利用料は300円くらいになる。
魅せられたのは、PTさんの手の技。ひとりひとりマッサージの仕方が違う。しかも、週末に大阪の勉強会に行って得た新しい手法を今日から使うといっていたPTさんがいた。 個人に合わせていろいろなメニューを考えて組んでおられることがわかった。
管理栄養士の方が1人で60人分の老健の食事を調整し、デイのお昼も出し、職員のお昼も出している。毎回の配膳前に食事をすべてチェックしておられるときいて本当に頭が下がる。調理師は委託業者からの派遣で4人。業者からの栄養士も1人いる。毎日の献立は業者側の栄養士が立てて、病院側の栄養士がそれをチェックする。病院側の栄養士は利用者の希望で魚がだめな人には肉を出したり、そうめんがダメな人には冷しゃぶとご飯にしたりと好き嫌いにも柔軟に対応しておられる。材料は業者側の栄養士が発注している。 19年4月から制度がかわり、栄養管理計画表というのをつくって、必要に応じて2週/1ヶ月/3ヶ月ごとに見直していくことになった。すごい仕事量だ。こんなに栄養士の方が大変だったとは知らなかった。
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・リハビリの流れがよくわかった。
・徒手手技が1人1人違う
B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・それぞれの職種の方が専門性をもってやっておられる ・どういう人にどういった種類のリハビリ/食事をオーダーすればよいのか
■7月18日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
エコー1件
デイケア
中間フィードバック
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・デイに慣れて、しっかり利用者さんの訴えを聞くことができた。
・担当者会議を見学させていただけた。・エコーで肝のEdge、胆嚢、脾臓、左の腎臓がうまく出せなかった。
B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・薬をやめたい患者さんがいたら、どうして薬をやめたいかをまず聞く。薬を始めたときの気持ちを知る。 ・ エコー
・Iさんが泣いてしまうことへの医学的解決はあるのか
・高血圧について学ぶ(ガイドライン2004)
中間フィードバックをテレビ会議で自分の病院とつないで指導医の先生とお話をした。 話したテーマは「血圧が改善した場合、高血圧の薬をいつやめるか」。 結局のところ、患者さんとの話し合いによるが、まずはその薬のエビデンスをしっかり頭にいれておく必要があると思った。
■7月19日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
デイケア
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・デイで利用者さんから情報をとりつつ、リハビリの順番に沿って血圧を測定することができた。 ・診療所に行くときに遅刻。
・小児の診察の手順(のどは一番最後にみる!)B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・今日の外来は人数も内容もすごかった・・・ ・慢性膵炎について
外来で気になった症例:慢性膵炎の方がお酒を飲んで心窩部痛で来られた。
ガスターガスモチンが出ているのに、さらにプロマックを出していいのか。
鑑別疾患 ・逆流性食道炎
・慢性膵炎の悪化
・胃炎
■7月20日
午前
午後
夕方〜夜
老健
迎え3件
老健
送り2件
午前は申し送り。夜中に興奮した利用者がいたため30分も時間をかけて話をきいて、自発的にベッドに動くまでをサポートしていたという。ポカリゼリーを介助。レクリエーション。昼食介助。排泄介助。みんなトイレに座っている。これだけおむつはずしができている施設は珍しい。
@今日できたこと、うまくいったこと A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・興奮しすぎて高血圧になった患者さんに薬を出すところまで、看護師さんから情報を得て先生に相談しながらできた。
・お風呂の介助、初めてだができた
・日曜の伊吹山ハイキングの参加者の把握
・お迎え準備、自発的に動けなかった。
・入所者さんの指の傷の処置が遅くなった・2人送りに行ったときにご家族に入所中の体調について聞かれたが、把握していなかった
B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・本当に介護士の人は忙しい
・無理に何かをすることがなく、本人のペースに合わせておられることにびっくりする。
・夜中に起きた方を30分間なだめて、「ベッドに行こうか」「うん」と自発的に動かせる介護力に圧巻。・どういう基準で1人を拾い出して申し送りやカンファをしているか
・老健職員の仕事のシフトについてもう少し聞いてみる
・老健で重症な人をどうみているか
■7月23日
午前
午後
夕方〜夜
薬局
老健入浴
AED講習会
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・調剤までの流れがよくわかった
・AED講習会、細かい点ではいたらなかったが、強調するポイントは伝わったかと思う。・今朝になって初めて老健入浴と聞いたので、半ズボンの準備ができていなかった。
・健康診断、時間かかりすぎ?
・レントゲン撮影で、端がきれるB今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・服の着脱の補助はとても大変
・利用者の方がどのくらいできるかを把握して、そのペースにペースに合わせるのもすごく大変。
・ただでさえ仕事がきついのに、認知症の方からは文句や罵声、暴力などがくることがあり、本当に大変。それを冷静にかわされるのは経験がなせる技だろうか。・どう服を着脱させるのが楽な方法か、盗み見る。
・明日はレントゲンを切れないように撮る
AED講習会の反省
・除細動が効く不整脈については説明しなかった。
・2分間たつとAEDの心電図解析が勝手に始まるところまで実際にみてもらえばよかった。
・ショックボタンを押す前に、もっと「離れて!」を強調して伝える
・誤嚥の対処法について話すべきだった。
・呼吸は感染の危険性があるときは必要ないと話しそびれた
救急講習、半年に1回では少ない気がする。職員に知識差があるように思った。Emergency call体制は? あとになってもっとデモ用の人形がほしいなどと言ってしまった。
■7月24日
午前
午後
夕方〜夜
訪問看護
往診4件
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・往診は4件だったので、1人1人を把握しながら行くことができた。 ・午前中体調が悪く、集中力が切れたことがあった
・褥瘡の処置を覚えきっていないまま往診に向かったB今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・訪問看護ではしっかり時間をとって患者さんと接していて、うらやましい。
・リハビリも、オムツ交換も清拭も処置もこなしていて、すごい・褥瘡の処置
■7月25日
午前
午後
夕方〜夜
吉槻診療所
往診1件
板並、大久保出張所
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・お年寄りに信頼されるような話し方を心がけて外来を担当することができた ・患者さんの中には慣れない医師に恥ずかしかったのか、逃げるように帰ったお年寄りもいた
・血圧が上手く測れるとき、そうでないときがあった
・筋肉注射の位置に自信がもてず、患者さんに教えてもらったB今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・外来は楽しい ・外来でよく使う薬を調べる →伊吹診療所の薬のマスター一覧をみて知らない薬をできるだけなくす
・高血圧の薬希望の人でも合併症の有無をきちんと確認する
■7月26日
午前
午後
夕方〜夜
外来
局所麻酔注射
採血/サーフロー
エコー(甲状腺)
伊吹診療所
往診1件(単独)
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・甲状腺エコーの方から病やご家族の状況などについて、貴重な話が聞けた
・サーフローの刺し方をしっかり復習できた
・外来ではその患者さんがどの程度の治療を希望しているかも加味して診察できた
・ある程度薬がわかった上で診療できた・子供でのどを「アー」と言わせなかった
・サーフローの固定
・局所注射、動かないよう固定しながら注入することB今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・往診では患者さんは、自分ではなくなじみのある看護師さんの声に反応していた
・白衣高血圧の人にはあまり家庭で血圧を測れと言わない方がいい(神経質な人が多いため)・基本手技の徹底
■7月27日
午前
午後
夕方〜夜
外来
外来
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・エコーで腎臓を左右出すことができた
・畑野先生の外来をはじめてちゃんとみることができた・子供の発熱で髄膜炎の所見を診ること
・薬の処方
・患者さんが薬を持って帰られるまで時間がかかり、待たせすぎた。信頼されたか不安B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・まだまだ勉強しないといけない ・患者さんに余計な心配をさせない問診の仕方
■8月1日
午前
午後
夕方〜夜
ケアマネージャー同行
職員エコー健診
ケアマネージャー同行
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・エコーでは少しずつうまくとれるようになっている
・ケアマネージャーの方の仕事内容、介護保険のしくみがよくわかった。・自分が外来のところを離れることを他のスタッフに周知していなかった B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・1人の人が介護保険を利用するのに多くの人がかかわっている
・ケアマネージャーの方のお仕事は亡くなって利用が終わる辛い面もあるが、少しでもよい亡くなられ方をされるお手伝いをできたらと思って働いておられる姿勢に共感した。・しっかりと患者さんの医療面を把握でき、かつケアマネージャーさんにも相談されやすい医師になりたい
■8月2日
午前
午後
夕方〜夜
デイケア
伊吹診療所
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・今日で診察5回目になる患者さんからいろいろと話しかけられた。 B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・久しぶりに出勤されたデイケアの看護師の方は利用者さんに信頼され、よく話をきいていらっしゃる ・外来を重ねるごとにできる話があるとしたら、どのように話していけばよいか
■8月3日
午前
午後
夕方〜夜
フリー(掃除、荷造りなど)
フリー(掃除、荷造りなど)
各部門のリーダーの方と食事会
@今日できたこと、うまくいったこと
A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと
・食事会ではケアセンターいぶきのこれまでの経緯やいまの問題点、達成できている点についての話をきくことができた ・もっと積極的に話に加われた B今の気持ち、感情、気づき
C今後学びたい内容・課題
・本当にいいところに実習にこられてよかった ・他の施設がどうなっているのかを知る機会をつくって、ケアセンターいぶきのいい点悪い点を考えて次回の実習に臨む
・臨床能力を上げてくる
昨日は本当においしい料理とお酒、いろいろなお話をありがとうございました。
おかげで幸せな気分で寝られました。
そしてあわてて朝に振り返りを編集していったら書きそびれがありました、
もう一度こちらに添付させていただきますね。アップデートの方、よろしくお願いします。
伊吹診療所での写真も添付します。
振り返りについて不備やわかりにくい点がありましたらご連絡ください。
この1ヶ月間、本当にお世話になりました。
宿舎も車も貸していただいて、何不自由なく生活できまして
何よりもみなさんに温かく接していただいたおかげで、いぶきになじむことができました。
最後は離れたくないなあと思いました(苦笑)。
私はあれから無事、千葉県でこの週末に行われている家庭医療学夏期セミナーというところにたどりつきました。北海道家庭医療学センターの先生の講演もありました(笑)。
私自身は家庭医療や地域医療という言葉にとらわれず、診療所や訪問診療で体験させていただいたことをふまえてその地域で必要な医療を考えながら勉強していけたらなあと思います。
とりあえず1月までには病院で学べることを学んできますね(神経内科、消化器科、救急)。
母もケアセンターで会った職員さんがいい顔をしていてすばらしいと言っていました。
皆さんがほとんど同じ方向を向いて働いておられる、全国でも数少ない誇れる施設だと思います。