東京北社会保険病院 研修医(J1)研修 1ヶ月プログラム


2007.10.9〜11.2 地域包括ケアセンターいぶき(J1) 1ヶ月プログラム

プログラム

第1週 地域を知ろう・・・伊吹、米原、湖北の観光地や病院へ行ってみよう
第2週 米原市内の医療・福祉リソースを知ろう
第3週 ケアセンターいぶきの福祉リソースを体験しよう
第4週 外来や往診をやってみよう。
 4月に1週間やってきた1年目研修医のY先生。半年の病院研修の後で、成長の跡が見られました。ただ疲れていたのでしょうね、体調を崩し、インフルエンザで1週間ほど療養されていました。プログラムの前半が消化できませんでしたが、それは仕方ないかと思います。でもすごく吸収していかれました。

 内科のローテーとはこれからとのことでしたが、専門研修の前に地域での総論的な考え方や目標づくりができたのではないかと思います。現在は、臓器別の専門医コースを進むドクターが多いかと思いますが、目の前の患者さんを丸ごと診る。その人は心臓だけが悪いのではないはず。たとえば、パーキンソン病の患者さんであったとしても、胃腸の症状や、肩こりや膝の痛みや、足の水虫やいろんな病気を持っていることが多いです。さらに不調を訴えるその背景には、生活をする上での不便さであったり、家族関係などが絡み合っています。いくら重い病気であってもとても明るい人もいれば、「どこも異常がない」はずなのにいろんなことで悩んでいる人もいます。

 私たちの仕事は2つの視点からいつもアプローチしています。一つは病気を見つける眼。目の前の患者さんの訴えの裏にどんな病気が隠れているか探しだし治療しようとする眼。もう一つは生活を支援する眼。どんな病気を持っているにせよ、病は気から。患者さんのできることを高く評価することによって、心を健康に保ってもらうこと(プラス思考を支援する)、自分の存在意義を持ちながら日常生活ができることを支援する眼です。

 今回の研修がY先生の将来に役立ち、病気だけを診ることのない、優しいドクターになっていただけることを期待しています。技術・知識のトレーニングが自信を生むと思います。お疲れさまでした。(畑野) ・・・偉そうなことを書きましたが、私自身、かなりヤバイ研修時代でしたし、そんなたいした人間じゃないので、ロールモデルになることにはいささか抵抗があります。


実習の振りかえり(109日〜11月2日)

東京北社会保険病院研修医 Y.K.
  1011

午前

午後

夕方〜夜

 

移動

 

  近郊の施設案内

  宿舎への引越し

 

 

老健への入所判定会


◆事務長の清水様が付近を案内してくださった。以前4月に伺ったときは徒歩であったが、今回は自動車で訪問した。徒歩で周囲を散策するのもおもしろいが、自身の車でさらにひろい範囲を周るのも興味深いと思う。「地域を知る」と一口に言っても色々な段階があると思う。外に出て、車で走って道を覚える、というのも大きな意味があるのではないだろうか。
◆周囲の道の駅、ホッケー場、薬草の里文化センター、保育園+幼稚園、を概観させていただき、前回はそのいずれも知らなかったことに驚いた。
◆宿舎は料亭のあとで、広かった。蜘蛛の巣が若干はっていたが、特に問題は感じなかった。このような快適な宿舎をご用意いただきありがたいです。
◆老健の入所判定会は初めて参加したが、ポイントがよくわからなかった。ただ、医師、老健、リハ、栄養などのそれぞれの部門の方々が意見を出し合っていたのが印象的だった。また、利用者さんそれぞれのキャラクターを重視していらっしゃるのを感じた。キツく言った方が喜ぶ(?)利用者さんもいると聞いて驚いた。が、一般社会で同様なのだから、老健内でも当然の話かとも感じた。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

 

フレッシュな気持ちで挨拶ができた。

 

入所判定会で一言も意見を述べることができなかった。また、議論のポイントもよく分からなかった。

 

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

 

  いよいよいぶきに帰ってきた、という気持ちがする。今日かかわった全てのかたがたが優しく接してくださって、本当にうれしかった。今週は地域を少しでも知ることができるよう努力したい。

 

  地域の観光施設

  そういった施設でケアセンターいぶきの評判をきくこと

  往診や出張所外来などいぶきらしさに触れる

 



■ 10
12

午前

午後

夕方〜夜

地域実習

国保中央会より「かかりつけ医」について畑野先生に取材

地域実習


◆午前と、夕方は地域研修を行った。具体的には以下のゆかりのある地名を訪問するものである。
  長浜市民病院
  長浜赤十字病院
  黒壁
  琵琶湖
  関ヶ原病院
  関ヶ原古戦場
  名水百選(大清水湧水)
  道の駅(旬彩の森・いぶきそば・ミルクファーム・若いぶき)
  伊吹山文化資料館
◆全ての施設の写真を撮ることができた。が、伊吹山文化資料館については17時で閉館ということで入場できず残念だった。また訪問しようと思う。
◆ナビに頼ったために、あまり道を覚えることができなかったのが残念だが、自らの足で地域をまわることで伊吹と周辺地のことをより身近に感じることができた。また、長浜市民病院などの搬送先病院の距離や時間を体感したのも有意義だった(12km25分くらい)。
午後は畑野先生への取材(ヒアリング)の現場に同席させていただいた。御著書『がんばらない』で有名な鎌田 實先生にもお会いできて写真をとらせていただいた。
◆畑野先生から地域医療や伊吹に関するお話をきくことができて非常に有意義な時間だった。本当に他のなにものにもかえることができない時間だった。色々と感銘を受けるお言葉があったが一部を抜粋します。
  地域の文化、歴史、スポーツなどを知ることが大事。近隣施設のPRもしている。
  往診先には携帯電話の番号を全て教えている。24時間アクセス可能ということで安心感が増える。意外に思うかもしれないが、それほど電話はかかってこない。例:夜中亡くなって朝まで電話するのを待つ家族がある。
  地域のことを第一に考えたスタッフや家族に恵まれやってこられた。
◆私が畑野先生に惹かれるのは、医学的知識が豊富なのはもちろん、地域全体を愛し、趣味や趣向まで地域の色に染まっているお人柄なのだろうと思った。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  畑野先生への取材の際、いくつか質問や意見を述べることができた。

  地域の観光施設を知ることができた。

  地域をまわっているとき、一般住民にあまりはなしを聞くことができなかった。

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  地域医療というのは単なる開業医とは違うとかなり感じた。病院で経験をひたすらつんだあとに田舎で開業するだけでは地域医療にならないかもしれない。そもそもの考え方が違うような気がする。

  畑野先生worldの実際を感じてみたい。

  畑野先生のモチベーションの要因をしりたい。たとえば、出身が滋賀であることと関係しているような気がするが、実際はどうか?

 


  1022

午前

午後

夕方〜夜

 

老健

予定の調整

歓迎会

◆インフルエンザで5日間欠勤してしまった。せっかくの地域研修が私の体調不良で5日間もなくなってしまい、本当に残念だ。ただ、40℃の熱が何日も続いたことでよい患者体験にはなったと思う。これまで「熱くらいクーリングでいいでしょ」と思っていた部分があったが、さすがに40℃は厳しかった。「とりあえず熱をさげてあげる」という事にも意味があると思った。
◆今週金土に学会があり、それに畑野先生中村先生が行かれるため、その間の留守を任されることになった。その準備のために本日は老健の仕事を少し教わった。明日以降、老健の実際や調剤業務、外来などを学ばせていただくことになっている。
◆夜は畑野先生との食事会だった。途中からいぶきのスタッフの方々に混ぜてもらった。楽しい夕食の時間だった。道中やお店で畑野先生にいろいろとお話を伺った。
  本当に地域の患者さんに信用してもらうには数ヶ月や1年では無理だろう
  いぶきのホッケーにはまってしまった。
特に上記の事柄が印象的であった。文化やスポーツを率先して楽しんでいらっしゃる様子はまさに私の理想の1つであると感じた。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  スタッフや利用者の方々にしっかりと挨拶をすることができた。

 

・身体があまりついてこなかった。現状を把握するのに精一杯だった。

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  老健と病院の違いについて前回4月の訪問の際はあまり感じなかったが、今回はしっかりと学びたいと思う。

  金土と畑野先生中村先生が不在だが、その間私1人で不安だ。もちろん、医師としての働きよりも単に人手として期待されていることはわかるが。

  老健での問診

  老健と病院の違い

 


  1023

午前

午後

夕方〜夜

老健

調剤

 

◆午前は畑野先生につかせていただき老健の業務を体験した。以前私が4月に伺ったとき病院と老健の違いがよくわからなかったが今回は違いを感じることができた。畑野先生がおっしゃるには今年の5月ぐらいに方針転換されたらしい。医師主導のトップダウン方式から各スタッフが自主的に行動する方式にされたとのこと。「責任を上の人間がとりさえすればそれでいいと思う」と仰っており、スタッフとの信頼関係の強さがにじみでていた。また、病院ではすぐに点滴をするが「点滴ももしかししたら抑制の1つではないか」という話をして下さった。
◆病院ではどうしても、不具合や疾患を診断し、入院中のリスクを考え、抑制してでも病気を治そうとするが、老健ではプラス面をのばして、「元気になって帰ってもらう」ということが目的のようだ。そのためには、たとえば心不全の患者さんに厳密な食塩制限や水分制限をすることは、元気を奪うため逆効果に成り得る。
◆午後は調剤全般について体験した。4月時より、患者さんの数に余裕があったためか積極的に身体を動かすことができて有意義だった。患者によって分包の有無などを薬剤師さんが把握されており医師と話し合って薬をだしているのが印象に残っている。他に、破砕に向かない薬剤や乾燥剤が必要な薬剤などを教えて頂き非常に勉強になった。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  挨拶

  老健の新入所の方に簡単な身体所見がとれたこと

  調剤体験で積極的に行動できた。

・調剤の際ダブルチェックを行っていたにもかかわらずややチェック漏れがあったこと。一度作った後に作り直した。

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  老健で必要とされる医学知識は病院でのそれと異なるのだろうか。基本的なスタンスの違いは頷けるが、知識面においてはどうか。

・U度熱傷の患者の対応を学ぶ


  1024

午前

午後

夕方〜夜

外来実習

訪問診療

 


◆午前は外来実習を経験した。手技的な面では上部消化管内視鏡の挿入と簡単な観察、抜去をさせていただいた。ただ、はじめての経験であったため非常に戸惑いが大きかった。病院での消化器科での研修で少しは経験を積んでから来たかった。
◆手技、技術以外の面では「家族を視点としたアプローチ」を体感することができた。主訴は腰痛の患者さんであったが、話をきいてみるとアルツハイマー型痴呆の夫の介護疲れが背後にあることが理解できた。畑野先生は常に家族・地域を視点としたアプローチをされているそうで、無頓着に外来をこなしていては絶対に到達しえない領域だと感じた。
◆また、心不全の患者さんで元気に草を刈ったり、畑仕事をされたりする90代の男性の話をきいた。病院では心不全というだけでその人本来の生活や趣味といったものまでも奪ってしまうが、ここでは「疾患をかかえているとしても生き甲斐を尊重し、プラスの面を評価している」とのことであった。
◆午後は往診に伺った。9件。私は血圧を測ったり聴診したり、採血や静脈ライン確保などをさせていただいた。半年前はロクに点滴もできなかったが、今回は行うことができた。些細なことかもしれないが、少しは成長できているような気がしてうれしかった。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  往診の採血や静脈ライン確保を失敗することなく行うことができた

  家族を視点とした医療を少し実感できた。

  内視鏡の扱い方がよくわからず、患者さんに余計な苦痛を与えてしまったのではないかと心配

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  家族、地域を視点としたアプローチについてもっと日頃から意識していきたい。

  確実な技術はやはり必要不可欠。

 

  内視鏡の取り回し

  けいれんの対処法


1025

午前

午後

夕方〜夜

老健

哲西町診療所から佐藤先生ご一行視察

老健

家族カンファ

入所判定会

午前と午後の半分は老健でお世話になった。いつも老健をまわらせていただくと、シーツ交換すらできない自分に嫌になるが今回はできるだけつらい気持ちにならないよう積極的に取り組むことができた。
◆病院の外科研修で包帯交換を行っていたため、処置に関しては比較的スムーズに行えた。ただ、胃瘻の方に胃注をおこなったり、インスリン皮下注を行ったりといった医師としてあたりまえの手技に精通していなかったのが恥ずかしかった。排泄介助や食事介助はできる範囲で頑張ることができた。また、自らの軸足を利用者さんの足の間にいれてそれを中心に回転させると非常にスムーズに体交を行うことができた。
◆午後の半分は岡山県新見市 哲西診療所から佐藤先生ご一行がこられ視察された。視察の際に同席させてもらうと、いぶきの概要や畑野先生・事務長の清水さんらの狙い・希望がはっきりとわかるため非常に勉強になる。特に、老健の退所者のうち60%以上が家に帰っていること、米原市42000人を支える最も大きな医療施設がケアセンターであること、などには改めて考えさせられた。やはり「地域全体、家がベッド、携帯電話がナースコール」なのだろう。
夕方の家族カンファでは退所1ヶ月前の患者さんについて御家族を交えて議論が行われた。病院ではなかなかできない「退院した後のことを考える」という良いきっかけになりそうだ。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  創処置

  利用者さんへの挨拶、こえかけ

 

  胃瘻管理

  シーツ交換

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  食事介助で誤嚥が怖く、細々と食事を提供していたら逆に噛みにくいことがわかった。

  期限がきたから退所、というのではなく退所した後のことを考えねばならない。往診にするか外来でf/uか、といったことはもちろん車椅子をレンタルするか、といったことまでチームで考慮する必要がある。

  胃瘻管理

  血糖計測→インスリン皮下注の手技

 


  1026

午前

午後

夕方〜夜

老健

外来

老健回診

 

 


◆午前は老健の入浴介助をさせていただいた。いつも思うが、入浴介助は最も大変な仕事の1つだと思う。今日は老健のスタッフが不足しており、私が戦力とならなくてはならなかったがむしろ邪魔をしてしまったのではないかと非常に不安である。少しでも利用者さんが気持ちよく入浴できるよう心はしっかりともっていたつもりだが・・・。
◆午前は他に外来を少しさせてもらった。国保学会のため畑野先生・中村先生がいらっしゃらず、休診となっていたが耕耘機で膝を受傷された方と栄養士の実習生さんが腹痛を訴えたため診察した。擦過傷の方にはSteriStripで閉創したが、それすら必要ではなかったかもしれない。むしろもっともっと洗浄するべきだったかもしれない。実習生の方は理学的所見からも病歴からも今朝食で食べた黄色ブドウ球菌食中毒が疑われたため、念のために胃腸薬を処方した。
◆午後は老健の回診を非常に大まかに行った。というよりも、スタッフの方に診察を求められた利用者さんのみ行った。昨夜39℃の発熱で、カロナール2Tで解熱された利用者さんがいらっしゃった。肺炎を疑い聴診したが特に著名な雑音は聴かれず、かつ、全身状態が非常に良好であったため経過観察とした。明日畑野先生が戻ってくるまで特に何も起こらないで欲しい・・・というのが正直な感想です。
午後は

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  畑野先生中村先生の留守でかなりプレッシャーがあったがなんとか終えることができた。

  老健で利用者さんのお世話をするときにもう少し心に余裕を持つことができればよかったか。

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  研修医としてこれまではユニット毎に研修してきたが、研修終了後地域に行くと午前は老健、午後は外来などとあまり決まっているものではない。いつどちらに呼ばれても対処できる度量が必要だろう。

  黄色ブドウ球菌食中毒の対処法

  肺炎のエンピリック治療


  1029

午前

午後

夕方〜夜

外来

往診

勉強会

往診


◆午前は外来研修だった。手技としてはエコーを二人、胸部X線撮影を二人、ガングリオン穿刺を一人行った。エコーはやはりわかりそうでわからない。自分の描出に全く自信が持てない。これはおそらく系統的な学習を行っていないためと思われる。最近は良いDVDもあるらしいのでそろそろしっかりと学習しなくてはならないと感じた。
◆畑野先生の患者さんに対する接し方は今日も勉強になることばかりだった。「体重が増えないんです」と心配されている60台女性に対して、カルテを見て「昨年の同時期も同じような体重ですからこの季節はそうなんでしょう」とおっしゃっていた。継続して診ているからこそ言えることだと思う。

初診の患者で、筋力低下があるためリハビリを希望されている方がいた。私は型どおり医療面接を行い、リハ希望で決まりと考えていたが、畑野先生は昨日「急に」筋力低下が起こったかどうかを熱心に聴いていらっしゃった。新しく起こったStrokeを除外するためのようだ。Onsetを聴くのは常識中の常識であると思うが、それでも実際には私はできていない。自分の甘さを痛感した。
午後は往診を行った。畑野先生が13人抱えていらっしゃったので、私と看護師さんと二人だけで5人を担当することとなった。どの患者さんも状態は安定していたので血圧測定や聴診、腹部診察、褥瘡処置などを特に緊張することなく行うことができた。畑野先生がいない状況で往診をするととっても疲労することがわかった。やはり自分1人で判断を迫られるからだろう。しかし疲労だけではなく充実感も味わった。患者さんに「畑野先生でなくて代わりの研修医ですみません」と言うと「そんなことないです。ありがとうございます」とおっしゃってくれてうれしかった。もちろん、本音では畑野先生の方が良いに決まっているとは思うが。
◆夕は往診のカルテ入力の後、疥癬についての施設内勉強会があった。学生時代の知識を思い出した。さらに知識を深めるためにUpToDateを調べようと思う。
◆そうこうしているうちに、午後に往診に廻った患者さんが39度の発熱という連絡が入り、畑野先生と伺うことになった。咽頭、呼吸音、腹部に特に所見なくUTIも本人の弁ではなさそうだった。お孫さんが数日前に発熱していたそうで、それの感染かと考えられた。サーフローを入れたが久しぶりに失敗してしまった。血管はよく怒張しており、失敗するはずのないものであったが、ライトが暗くさらに適切な肢位をとることが難しかった。これが本当の現場であると思った。

◆その後畑野先生のご自宅で夕食をいただいた。看護師として働いていらっしゃる奥様の手料理をいただき、かつ、家庭の存在やお子様のことなどをおききした。持続的に地域医療を行うためには家庭は必要不可欠であると思った。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

・畑野先生なしでなんとか往診を行うことができた。

  エコー

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  畑野先生の良さを患者さんに尋ねてみたら「熱心」「土日無し」といった事以外に「いつも診てくれているから『これは日赤にいかなくてはならない』といわれたときに安心して日赤に行かれる」というのがあった。重病を見極められる能力も継続した診療が基本にあるとより患者さんにとってのメリットが高いと感じた。

  エコー

  口内炎に亜鉛は有効かどうか

  疥癬をまとめる



1030

午前

午後

夕方〜夜

外来

往診

 

◆午前は中村先生の外来だった。今日もエコーをさせてもらった。しかも畑野先生から指導をいただいた。が、プローブの持ち方すらすでに間違っており本当に基本のなさを痛感した。診療所で医療を行う場合、エコーは腹部、心臓以外に甲状腺や頸動脈など汎用性が高い。基本操作は絶対に習得すべきであろうと思う。レントゲンも数件とらせてもらい、普通に起立できる人ならなんとかとれそうな気がしてきた。
◆印象に残った患者さんとしては、101歳で38度の発熱、WBC 14000、CRP 6の方がいらっしゃった。胸部レントゲンでは明確な肺炎は否定された。私は「入院?」ということが頭に浮かんだが、環境が変わると一気に認知症の問題行動が現れるということで通院してもらうことになった。病院では即入院だろうということを考えると地域医療を体感できた。
また、「コレステロールが健診で高かったんですけど」という患者さんが数名来られた。日頃ハーフデイバックで扱っている内容であり「本当にそういう患者さんが多いのだな」と驚いた。自分なりにロールプレイを繰り返してきたつもりだがなかなか実際は難しい気もした。何度でも復習したい。
午後は中村先生と往診に行かせて頂いた。6件だったが、畑野先生と比較し広範囲に行かれているため時間は思ったよりもかかった。昨日5件を看護師さんと二人で行っていたため、お話→血圧測定、SpO2測定→胸部腹部診察という流れを自主的に行うことができた。ただ、それは安定している患者さんだからかもしれない。往診に伺ってみてはじめて「肺炎っぽい」などとわかったときにすぐに判断・対処できるか。非常に疑わしい。牧歌的な定期往診ではなく、昨夜のような緊急的な往診にも対処できるようになりたい。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  往診が慣れてきて、1人である程度行動できるようになってきた。

  やはりエコーが課題。解剖がわかっていないのか。

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  在宅でも老健でも病院でも褥瘡の処置は医師として必須知識・技術であると思う。機会をつくって集中的に学びたい。

  アドエア(フルタイド+セレベント)の有用性について

  メバロチンとリポバスの使い分けについて。

  コレステロール高値主訴の患者さんにどのように説明するか。HDBを復習したい。



1031

午前

午後

夕方〜夜

外来

小学校マラソン前健診

往診

 

◆午前は外来。胃カメラさせてもらったがやはり行きたい方向にいかない。病院に戻ったら模型などでよく練習したい。ウオノメの処置もあった。皮膚を浸軟させてメスで薄く薄く削る。
◆また10年ほど前に畑野先生が往診に行かれていた家庭の娘さん(10年前はその娘さんは実家を離れていた)が受診され「今後よろしくお願いします」と言っていたのが印象的だった。継続して地域にいる意味を感じた。
◆午後は小学校にマラソン前健診。喘息、気管支炎、心疾患に注意し問診、聴診を行った。日頃のactivityにも注目した。また、問題がある子はできるだけ家庭環境についても言及することが大事であると感じた。子どもはやはり家庭の雰囲気をダイレクトにうけてしまうのだろう。
◆その後は往診8件+緊急往診1件。インフルエンザ予防接種を往診先でさせてもらった。車中畑野先生から「病院なら医療費月70万、老健なら35万円、家なら56万円。しかもその人がもし畑仕事とかしたら医療費を使うどころか生産活動を行うことになる。そうでなくても、留守番してくれることによって家族が働きに行くことができる。病院に入院したら、見舞いや衣服の世話などで仕事どころではなくなる」といったお話を伺った。在宅ってすごい、と単純に感じた。でも、医療人や家族の協力が無いと不可能なのだろうとも思う。緊急往診では胸痛主訴の患者さんのところに行った。ポータブルの心電図を使った。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  外来で待合室実習に近いことができた。

  疥癬を調べることができた。

  胃カメラ

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  在宅医療の重要性を感じた(上記の通り)

  畑野先生の良いところを患者さんに聴くと「前向き」「熱心」といった事が多くかえってきた。また患者さんは「先生もはやく結婚して地域に来て下さい」と数人がおっしゃっていた。温かい家庭は地域医療にとって重要なものだと感じる

  最近風邪の患者さんがふえてきており、鎮咳薬、去痰薬をまとめたい

 


111

午前

午後

夕方〜夜

外来

往診

 


◆午前は畑野先生と外来。
◆畑野先生にこどもへの注射のコツを教わった。「病気になったらイヤだよね、(注射)やるよ〜」「弟見てるしお兄ちゃんだから泣かへんよな〜」などと言ってこどもに「うん」と納得させる事が秘訣だそうだ。また、針をみせないことも重要。さらにインフルエンザの予防接種は穿刺時ではなく薬液注入時が痛いので全量入りきらない時点で、「終わりだよ」ということも秘訣だそうだ。
◆その後エコー2回させてもらったが全くだめだった。特に肝臓の切り方。本当に勉強しないと。cystが多数あったのにそれとわからなかった。他に、「脾臓の近くに膵臓尾部があると思って観察することが大事。腫瘍の見落としが少なくなる」というお話もためになった。
◆胃カメラも見学させて頂いた。脊椎のため胃が曲がっていることと、そのために十二指腸セカンドポーションに行くには右に曲げながら下に落とす、ということを学んだ。洗浄の仕方も簡単に教わり病院での消化器研修に備えた。
◆畑野先生の外来で飛蚊症や足のしびれ感などなかなか根治不能な不定愁訴に悩む患者さんがいらっしゃった。畑野先生は「治らない」と突き放すのではなく、「それでも畑行けてますやん。旅行行けてますやん。すごいことですよ」とプラスの面を評価していた。確かに、突き放すと医師患者の継続性が失われるかもしれない。医師側としては「最近来なくなったなぁ。納得したのだろう」と盲目的に思うかもしれないが、患者は再受診をせずに他院に行っているかもしれない。
午後は中村先生と往診7件。巻き爪の処置、褥瘡の処置があった。車中で看取りの話を伺った。「褥瘡の処置なんて気持ち悪い、と言っていたひ孫が次第に褥瘡の処置を手伝うようになってきた。看取りの際は大勢の家族が取り囲み、涙を流していた。」という話を伺い「在宅で死を迎えることには子どもへの教育の意味までもあるのか」と思った。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  エコーで腎臓の描出。Cyst発見

 

  エコーで肝臓を隅から隅まで描出すること

 

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  今日で4日連続往診に伺った患者さんがいる。たった4日でもだんだんと慣れてきた感じがする。畑野先生中村先生の継続性は極めてすごいことだと改めて感じた。

  こどもへの予防接種を実際に行ってみたい。

 


112

午前

午後

夕方〜夜

外来

就学前健診

荷造り


◆午前は畑野先生の外来につかせて頂き、私自身も咽頭痛主訴の患者さんを診察させてもらった。手技としては胃カメラもさせて頂いた。34回目の内視鏡だったが、梨状窩を通過した後もう一度抜いてしまい患者さんに余計な苦痛を与えてしまった。自らが一度被験者となって胃カメラを味わった方がよいかもしれない。全く操作が上手くできない(数回目なので当然だとは思うが)

◆胸部レントゲンも撮影したが、読影にたえうる写真が撮れたと思う。スパイロは患者さんへの説明が難しく、しかも「頑張ってもらう」ことも大変で完遂できた気がしなかった。関注と関節穿刺は思ったよりも「えいっ!」と思い切りよく行うことができて成功して安堵した。
◆畑野先生が健診結果で中性脂肪が高かった女性に対し「この結果どう思われますか」「何かご自分でこの結果をよくするために計画されていることはありますか」「具体的にどうします?」とお話しされていて、行動変容のプロセスを体感できた。また日頃我々社団の研修医が立てている目標と同様である、という感覚を持った。やはり具体的、定量可能、達成可能な目標を立てることは大事なのだろう。
◆午後は近隣2小学校の就学前健診に伺った。合計50人強の幼稚園児をみさせてもらった。心肺聴診、胸郭や脊柱の見かけ、耳鼻咽頭、皮膚を中心に診察した。私は主に心臓聴診を担当させて頂き、畑野先生にチェックをうけた。機能性雑音をどの程度ひっかけるか悩ましかった。研修医の聴診は感度が低いと思うのでとにかく集中するように心がけた。極度におびえている子どもがおり、診察するのはなかなか難しかった。
◆小学校の養護の先生が「畑野先生ほど家族全体を知っている校医さんはいませんよ」とお話しされており地域に長く住み、継続して外来、往診をすることの意義をあらためて感じた。

@今日できたこと、うまくいったこと

A今日うまくいかなかったこと、失敗したこと

  CXR撮影

  関節穿刺、注射

  心臓聴診に集中

  GF操作

  外来後フィードバックで看護師さんから「先生もっと自信をもって」と言われた。とてもありがたいフィードバックです。

B今の気持ち、感情、気づき

C今後学びたい内容・課題

  東京に戻り1月から8ヶ月内科がある。当直や外来研修を通じて自信を少しでも深めて来年910月いぶきに戻ってきたい。

  行動科学のプロセスを実際の患者さんに使いたい。

  GFの操作

 


終了