福祉のまちづくり講座 in 米原


どうなる!? これからの在宅介護

介護保険が始まり介護サービスは飛躍的に増加しましたが、一方では福祉人材不足という新たなる問題も取り上げられてきています。今後、増え続ける高齢者の方が住み慣れた地域で安心して暮らせる地域社会を実現するためには、介護保険を中心として、地域での支え合いが重要となってきます。  これから、在宅での介護をどのように支えていけばよいのでしょうか。 何かできることはないか、皆さんと一緒に考えてみませんか?


平成20年10月26日(日)

時間:13:30〜16:00


場所:ジョイいぶき・ジョイホール(伊吹薬草の里文化センター)                  米原市春照37番地


第1部 基調講演

『地域包括ケアの取り組み』

    ◆地域包括ケアセンターいぶき     センター長 畑野 秀樹 氏      


第2部 シンポジウム

『これからの在宅介護を考える』      〜現状の問題点から〜

    ◆コーディネーター   畑野 秀樹 氏

    ◆パネリスト

     介護経験者      竹林 愛湖 氏

     介護相談員      西秋 清志 氏

     ケースワーカー    西堀 正次 氏

     米原市地域包括支援センター  東 志のぶ 氏


地域に包括的ケアを広げていくための方策  要約
高齢化率24.7%、実に1万人に達した米原市の高齢者ですが、日本の10年先を行く先進地としての取り組みをお話しします。病院や施設より自宅で過ごしたい人も多く、そしてそれを受け入れる土壌がまだまだ米原市には残されています。時代は病院のベッドは減らされ、入所施設は増える見込みのない現状で、米原市民の考え方はプラスに働いています。今こそ、高齢者に最期まで働いていただき、役割や生きがいを持って生きていただきましょう。また家で老い、死んでいくことを堂々と選択していただきたい。女性が仕事に行ける環境を作りながら在宅療養を行うという作業を私たち医療・介護のスタッフは支援していきたいと思います。そのことが若い世代に文化として伝わり、次世代の豊かな社会づくりに役立つと信じています。
具体的には、介護士・看護師・ケアマネージャー・理学療法士・作業療法士・医師など、多職種が一緒になって、連携して、住民や家族を支援していきます。老健施設では期間を限定してリハビリを行い、自宅に帰っても入所(ショートステイ)・訪問系サービス・通所系サービスを提供します。地域包括支援センターとの連携は介護保険以外の行政サービスの情報提供を、病院との連携は医療的な支援として、うまく活用していきたいと思います。

パネリストの紹介とお話の要約・・・介護保険認定審査会の作成されたパンフレットに基づいて書かせていただきました。

介護体験を通じて
ご主人が障害を持たれて20年、子育てと姑さんの介護もしながらの大変な介護生活について語っていただきました。支えになったのは、病院相談室のソーシャルワーカーさんの「一緒に頑張りましょう」という言葉、そして訪問看護師やヘルパーさんたちの介護のおかげ。退院に当たっては子どもさんたちとも相談し、協力し合い、お父さんの役割についても語り合ったそうです。
介護保険制度も整備されてきてはいますが、それだけでは介護は継続できません。長期の介護には心身の余裕が必要です。自分のペースでできる介護、息抜きできる場所、ソーシャルワーカーさんの存在に大きな意味があったそうです。
退院時の支援を通じて
病院での入院を経て、在宅に退院される方の相談や家庭の受け入れ環境をサポートする仕事をされています。近年病院では、入院期間の短縮化がすすみ、患者さんにとっては追い出される感があります。胃ろうや酸素をしながら自宅に戻られる方も少なくありません。こうした状況の中でご家族・本人が安心して退院できるようにサポートしています。ソーシャルワーカーが担当したケースの、7〜8割の人が自宅に帰っているそうです。在宅での介護経験のない方に、在宅での介護がイメージできるように、また介護に対する不安が和らぐように努めています。退院後の在宅介護がイメージできると、家族も介護を受け入れることができると最近では確信しているそうです。
介護相談員活動を通じて
介護相談員とは、介護サービス事業者を訪問し、利用者の苦情や不満などを聞き施設に伝え、よりよいサービスを提供していただけるように活動する団体です。直接施設に言えないことも相談員を通じて、施設に伝える役割を担っています。また一般市民としての立場から感じたことや言葉にできない利用者の代弁者としての活動もしているそうです。はじめのうちは「とてもよくしていただいています」とおっしゃる入所の方も、信頼関係ができるようになると、ぽろっと本音が出てくるようになるそうです。またお盆や正月ですら面会に来てくれない家族もあったりして、いつまでも我が家や家族への思いが強いことを実感するそうです。
 全国的に介護サービス従事者不足が叫ばれていますが、近隣の施設でも同じです。そんななか、事業者もいろんな取り組みをされており、利用者の意識も変わってきたと感じています。介護保険が始まった頃から活動を続けており、最近では活動も理解され、いろんな話を伺うことができます。そんな利用者の声をお話しいただきました。
米原市の現状と課題
米原市地域包括支援センターでは、介護保険だけでなく、様々な制度や地域資源を利用した総合的な支援を行っています。そしていつまでも自宅で元気に過ごすことを目的として介護予防に取り組んでいます。
また、認知症高齢者が増え続ける中、介護負担や精神的ストレスによる高齢者虐待なども増えており、問題の解決にも取り組んでいます。今年は介護保険事業計画の見直しの年でもあり、高齢者実態調査を実施しましたので、米原市民の思いや考えをお伝えし、米原市の取り組みについて考えていきたいと思います。
高齢者実態調査では、約8割の人が住み慣れた自宅での生活を希望されていること、ボランティアなどの社会活動への取り組みに積極的な方も3割あり、介護保険だけではカバーできない部分を、地域の人の力で支えていけるようになればと考えています。

畑野 発表スライド
(患者さんの写真についてはご家族の了承を得て載せています)