2012.6.10 市立長浜病院
内容の一部についてご案内します
2007年、がん対策推進基本計画で「全てのがん診療に関わる医師が研修などにより、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことを目標として掲げられました。2008年、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」が出され、いつでも、どこでも、切れ目ない質の高い緩和ケアを受けられることとされました。研修は2日間にわたり、痛みの緩和、呼吸困難に対する対応、消化器症状に対する対応、精神症状に対する対応、地域連携など豊富な内容でびっしりと行われます。
今回は、市立長浜病院の野口先生、山口先生を企画責任者として、プログラムが組まれ、20数人の受講者が受講されました。
自分の担当は、「地域連携と治療・療養の場所の選択」。講義とグループワークにて80分。病院の医師や看護師さんが多かったため、地域側のスタッフとして、3つの訪問看護ステーションから看護師さんに加わっていただき、ディスカッションしてもらいました。思っていた以上に活発に討議され、時間が足りないくらいでした。
在宅移行に向けての課題や解決案 グループA |
グループB |
グループC |
病院の医師にとって、ケアマネージャーはなじみの薄い存在のようでした。(今回は特に若い医師が多かったせいか)。がん患者さんにとって、治療は医師とともに進めていくものの、食事をどうするか、お風呂をどうするか、トイレにどうやっていくか、費用を安くする方法はないか、住宅改修できないかなど生活に即したマネジメントはケアマネの存在が大きいと思われます。ちなみに40歳以上の末期がんの人は介護保険が利用できます。
入院早期から、退院に向けての調整が必要で、医師や看護師の意識もそうですし、MSW(メディカルソーシャルワーカー)につなぐことで、ズムーズに在宅へつなげるように工夫してもらいます。ただ、実際には病院医師はMSWに相談して終わりになってしまうことがあり、病院医師と在宅側の医師との顔の見える関係づくりが必要ではないかという意見が多くありました。退院前カンファランスへの参加が双方に求められます。
「家に帰ることは不安だ」という患者や家族も多く見られます。家に帰ったらどのような生活になるのかイメージしやすいように、病院スタッフと患者・家族が十分な話し合いが必要です。また在宅資源(リソース)を知っておくことも必要です。どの医師が往診してくれるのか、24時間対応できるのかなど。在宅医師側にとっても、地域の様々な職種と連携し、みんなで支えられるようなシステム作りが求められています。現在は医師会にて在宅療養支援センターの設置などが検討されています。
がんの患者さんにとっては、退院できるタイミングというのが限られており、ニーズに即した素早い対応が必要です。これについては、介護保険は早い対応ができるよう改善されています。
地域の住民にとって、「在宅療養とはどのような状況なのか」ということを理解しやすいように、広報していくことが求められています。ここ30年程度の間に病院で亡くなることが当たり前となってしまったため、自宅で暮らすメリットがわかりにくくなってしまいました。また家しかないと決められてしまうと、患者・家族も不安が強くなるため、「いざとなったら病院に帰ってもいいんですよ」と選択肢を多くわたしておくことが安心になるかと思われます。
医療技術として、栄養摂取を経口からする場合の手段を、言語聴覚士や管理栄養士など専門的な立場から情報を得たり、点滴する場合には末梢からか中心静脈(ポート作成するなど)からか検討することも大切です。医療用モルヒネを処方できる医師を増やしたり、薬剤師の協力も必要になります。
このセクションは、2年前、1年前と比較して、年々変わってきているように思いました。徐々に在宅療養を受け皿が増えているように思います。