【 次につなげるために 】 ・・・ 真の日本代表選手を目指して


1.自分らしくプレーすることの大切さ!
 今回のFHEカップで、女子が初優勝することができました。ここ数年、女子チームは予選の勝率や得失点差など、あと少しのところで決勝進出を逃していました。
 はじめて対戦する海外の選手、その体格差や11人制のホッケー、暑さ、体力、日本と違う環境など、さまざまな要因に呑み込まれ、自分らしく戦えず、悔いを残す結果となっていました。もっとできるはずなのに慌てて、緊張して、自分らしく戦うことができませんでした。 
 しかし、今年の選手達は、その中で今まで以上に自分らしく、自分の力を信じて戦うことができたように、私の目には映りました。当然、最初からそんな気持ちでプレーすることはできませんでしたし、チームが優勝して、もちろん目標を達成したことに対する喜びを感じつつも、個々においては、課題を見つけて反省し、悩んだ毎日だったと思います。
 でも、その状況の中でも、自分の技術を信じてフェイントを使ったドリブルで仕掛けたり、ストロークで打ち抜こうと振り切ったり、しつこくディフェンスしたり、声を出し続けたり、PCにおいても自分の持っているものを出し切ること、精一杯自分らしいホッケーを出し切ることを、キャプテンを中心にチーム全員でやりきってくれたように思えます。
 何年も子どもたちが戦う様子を見てきて、敵はオーストラリアの選手ではなく、自分の気持ちの中にあるように思えています。自分らしく戦う、今までやってきたことを出し切る、日本でもいつも心がけているはずですが、それが一番難しい事のように思えました。
 たくさんの経験をし、無事に日本に帰ってきた36人、これからも今の自分に満足することなく、しかし、いつも自分を信じて、自分らしくホッケーに向き合って行ってください。試合は仲間と共に、そしてその中で自分らしさを出し切る、難しい課題ですが、これからも挑戦し続けてくれることを期待しています。
 
2.人のつながりを大切にできる人間に!
 今年のFHEカップで女子チームが優勝する中、男子チームは3位決定戦にも敗れ、すごく悔しい思いをしました。でも、チームとしてのまとまりはすごく強くなっていったと感じました。最初はすごく大人しい選手が多い集団でしたが、コミュニケーションをとることの大切さをきちんと理解して、声をかけ合うようになりました。
 盛り上げるためにどんな言葉をかければいいのか、試合でももちろん必要なことですが、人間が仲間と共に生きていくために、嬉しい時には喜びの声を出し合い、落ち込んだ時には励ましの声をかけ、楽しい時には一緒に笑う、難しい言葉をかけ合うのでなく、自然体で相手のこと、チームのことを考えて、コミュニケーションをとりあえるようになりました。その中心にいたのがキャプテンの竹原君です。竹原君は、いつも自分の気持ちを素直にそのままの言葉で表現していました。監督やコーチの先生方に対しても、後半開始前の円陣の中心においても、自分の言葉で、自分の気持ちを精一杯伝えようとしていました。
 予選の最終戦で悔しい試合をして、切りかえて次の日の三位決定戦に臨まなくてはいけない状況のときにも、チームを1つにまとめたのはキャプテンの言葉だったように私は感じました。キャプテンだけが頑張っても勝つことはできません。でも、一人一人がいろんな経験や、1つのきっかけでさらに強くつながることができるようになる。仲間のつながりが最も大切であることを、今年度の男女両チームから強く感じることができました。
 選手の皆さんも、人のつながりをこれからも大切にできる人間になってくださいね。
ヨシさん、ヒロコさんのつながりから、2010年からボブさんがこの遠征に加わってくださり、人のつながりを深めるためにバンバリーの遠征と交流会を企画してくれました。
 ボブさんのつながりから、たつやさんが日本食を選手に提供してくれるようになり、そして、日本ホッケー協会の馬場先生のつながりから、毎年鈴崎さんがカメラマンとして同行し、松村トレーナーのつながりから、谷口さんが昨年から身体のケアを行ってくれるようになりました。この遠征も人のつながりによって、現在まで支えられています。
 君たちが代表に選ばれたのも家族やチームメイト、その中で強い絆が信頼となり、まわりから応援され、それが安心や力となって、自分を伸ばし続けることができたのでないでしょうか?チームの中で自分らしくプレーすることができたのではないでしょうか?
 決して自分一人で上達したり、成長したのではありませんよ。だからこそ、これからも人のつながりを大切にできる人間であってください。人を大切にできる人間は、必ず人から大切にされます。人とのつながりの中でこそ自分が自分らしく力を出し切れるのです。
 オーストラリアで学んだこと、感じたことすべてが君たちの財産です。これからもそれぞれの場所で、人のつながりをさらに広めて、そして深めて、自分らしく活躍し、成長してくれることを期待して遠征のまとめと致します。
U16ジュニアユース 海外遠征事務局  幸田 伸也