夏季学生実習 @伊吹診療所
2003.8.21〜22
滋賀県の自治医科大学在校生二人が、毎年恒例の夏季実習で伊吹診療所を訪れてくれました。
毎年、うちを選んでくれるわけではないのですが、ひとつの伊吹診療所の夏の風物詩みたいな感じです。
今年は5年生のY君と、1年生のT君がやってきました。
診療所スタッフと学生さん(右2人)
診療所看護師と学生さん(右2人)
学生さんたちがどのように感じてくれたかは、私にはわかりませんが、いちいち指導する余裕はなく、患者さんの診察が中心で、ほとんど見学になってしまいました。内視鏡をしているところ、内視鏡の使い方、外来診察、検尿、採血、点滴、心電図、レントゲンの撮りかた、患者さんへの説明のしかた、痴呆患者の評価の仕方、予防接種、おたふく風邪の子供の診断、腹部エコー、注腸造影、胃瘻交換などを見てもらえたでしょうか。今回は往診はありませんでした(私が力を入れているところですが)。
夕方は、月に一回行っているケースカンファランスに参加してもらいました。伊吹町に住む要介護老人(介護保険も介護保険以外の人も含む)に対し、在宅で医療と保健と福祉がどのように連携をしているか、情報交換をしているかを見てもらえたと思います。患者さんが医者に見せる顔と、看護師やヘルパーに見せる顔のギャップの大きさに私自身が驚いたりします。メンバーは、在宅警護支援センター、保健師、デイサービス職員(広域)、理学療法士(広域)、ヘルパー、看護師(訪問看護)、デイサービス職員、デイサービス看護師、診療所医師などが入っています。ここで月に一回顔をあわせることで、他の日でも気軽に連絡を取ることができます。
夜は、『ペンションいぶき』でゆっくりとしゃべりあうことができました。なんといってもこれが一番楽しいですね。大学での生活の様子を聞いたり、クラブの話を聞いたり、今後の夢を聞いたり、結婚の話を聞いたり・・・。
なんで医者になろうと思ったの? と聞くと、彼らは自分の身近な人の死がきっかけになっているようでした。私の場合は、高校の友人がいきなり「お前、医者になれ」とか無茶を言って、『飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ』という癌で亡くなった医者の本なんですが、これを渡したのがきっかけでした。無医村になりそうな地元余呉の里。誰かが医者にならんといかんのかな。なれる者がなっといたほうがいいのかな? 滋賀では余呉よりも田舎はないから、田舎暮らしは得意だし・・・地域のお役に立ちたい。と自分では思っていたのが懐かしく、逆に学生さんから学ぶことが多くありました。
病院や特に大学では、医者は特権意識が強いですが、地域に出てみると、医療は住民の生活の中のほんの一部であることを感じさせます。住民と同じレベルで語り合うこと。医者一人でできることは少なく、保健師や看護師などたくさんのスタッフとの強調が必要であり、誰が偉いとかいうことはありません。同じ土台で、それぞれが協力し合い持ち味を出して、住民サービスを提供することが地域医療の醍醐味であることを感じます。
私はできの悪い医者ですが、学生さんには泥臭い医者を見てもらえたことで、リフレッシュできました。