平成14年7月8日夜、山東町の勤労青少年ホームで、健康教室にご招待いただきました。(山東町三島手話サークル&滋賀県手話通訳問題研究会湖北班 共同開催 お話会)
どういうご縁か、滋賀県手話通訳問題研究会 湖北班 班長の山本聖子さんが、伊吹町社会福祉協議会の的場さんと一緒にぼろ診療所に来ていただき、健康教室を頼まれました。伊吹町のことなら結構知っているつもりですが、他町の聴覚障害を持った方やボランティアさんを対象に、はたしてうまく講演できるのか不安ながらも了承したのが、5月末のことでした。
最初彼女から「聴覚障害の人が、どんなことに注意して医療機関にかかればいいのでしょうか」というテーマをいただきましたが、別に身振り手振り、筆談で十分だと思ったので、このテーマはボツにさせてもらいました。以前伊吹高校の先生を対象に健康教室をしましたが、テーマを7つくらいにしていましたので、その中から何に興味があるのか聞かせてもらい、1.コレステロールの話、2.高血圧の話、3.ストレスと病気についてに絞らせていただきました。
原稿を考える日々・・・・それがなかなかひらめかない・・・ひらめくとわーとアイデアが浮かんでくるのですが、いらんことばかりに興味がいって、なかなか原稿ができず、結局当日も原稿はできずに本番になってしまいました。
「眠くならない」「ためになる」健康教室・・・私の大学時代の同級生に京都府立大学内科の坂根直樹という医師がおりますが、彼の糖尿病教室は、本当に眠くならない、おもしろい話で、飽きることがありません。実際に私も彼の「患者さんを飽きさせない健康教室」に参加してきて、勉強になりました。
坂根先生の講演のポイントは、
1.アイスブレイク・・・氷を割るという言葉のごとく、出だしの硬い雰囲気を一気に和やかにするということです
2.グループ討議・・・数人ごとのグループに分けて、自由に話し合いをさせます
3.具体的な自分の行動を探させる・・・自分ならどうするか考えさせます。たとえば「明日が期限のお菓子が1個余りました。あなたならどうする?」と言った事を考えさせます。坂根先生はこれを「問題解決型健康学習」としています。
4.脅かさない・・・怖い病気だと脅かさないで、前向きに問題解決をしていきます
5.相手の価値観を認めてあげる・・・例えば、悪いと分かっていてもタバコは止められない。「これ1本で命が10秒縮むのか」と思って吸うより「おいしい1本」と思って吸う方が健康的であること。
6.ゴールは、豊かな人生もちろん私に、そんな技量はありませんので、できる範囲で楽しくやっていくことにしました。
山東町だけかと思っていたら、伊吹町、近江町、米原町、長浜市からも、聴覚障害の方・ボランティアの方が来られていました。パワーポイントでスライド表示しつつ、隣に手話通訳ボランティアの方が立ち、通訳をしてくださいました。48枚のスライドを流し終わり、休憩を挟んで、質問コーナーとなりましたが、本当に次々に質問をいただいて、こちらがたじたじになるくらいでした。
「血液をさらさらにするのに『魚』がいいと言ったけど、アジは?カレイは?」とか、「夏ばて予防に豆腐だけ食べて、ご飯を食べなくてもいい?」とか、「梅干はコレステロールにいいの? 何個まで食べていいの?」とか、「私は何カロリーくらい食べたらいいの?」とか、結構具体的な質問が多かったです。逆に言えば、医師に対する要求をたくさん持っておられるのでしょう。
帰りに、女性の方から「楽しかったです」と言われたことが、疲れを吹き飛ばしてくれました。
今回、自分が勉強になったことは、
1.聴覚障害のある方とない方と、全く違いはないこと。ただし「いろいろ効いて欲しい」という要求は、やはり障害のある方のほうが強くもっていらっしゃることがわかりました。
2.たくさんのボランティアさんがいらっしゃることがわかりました。そしてボランティアという意識というよりも、同じ仲間という雰囲気でした。心のバリアフリーという感じを強く受けました。
3.手話通訳さんのおかげで、ほとんど苦労なく話ができました。またパソコンを利用したことは、視覚的により役立ったと思いました。ほんとは私も手話を使えるといいのですけどね・・・
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