私たちの目標 @地域医療(地域包括ケア)を理解する医師を育てる A地域医療の楽しさを実感してもらう |
2003年度 |
ドクターKの地域医療研修レポート |
2003年8月21〜22日 自治医大学生夏季実習 |
2003年9月1〜5日 自治医大地域医療BSL |
2004年度 |
2004年8月 学生実習 |
2004年8月 臨床医研修 & 自治医大生地域医療実習 |
2004年9月 臨床医研修 |
2004年11月 ドクターN 診療所見学 |
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持ち物 @白衣 A聴診器 Bサンダルなど上履き、往診できる靴、冬は長靴 C短パン、Tシャツ・・・入浴介助ができるように Dパソコン・・・毎日の振り返りができるように |
◆地域包括ケアセンターいぶきの特徴・・・(注 数字は2012.10現在のもの)
@滋賀県にない、日本でも数が少ない医療と介護のドッキングした施設であること。公設民営であること。
A診療所、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、リハビリテーション、デイケア、老健の複合施設。スタッフ数 87人
B医師複数制であること。出張所、近江診療所、米原診療所(医師派遣先)も合わせ、市内6ヶ所の診療所を4人(+α)の医師で運営
C老健は3ヶ月が限度であること。在宅復帰率が約90%と非常に高いこと。うち30床がショートステイで、1ヶ月に170人が入所し非常に回転の速いこと(平均入所期間 4日)
D老健の平均要介護度は、ロングが 3.8, ショートが 3.7と、重度の占める割合が多いこと(要介護4+5で過半数)。
Eリハスタッフが9人と多いこと(PT 5,OT 3,ST臨時1)
F摂食・嚥下に関する「お口のチーム」ができていること。(歯科衛生士、言語聴覚士(ST)、作業療法士(OT)、栄養士など)
Gデイケア(定員25人)は、市内全域を対象とし、入浴サービスがなく、リハビリに特化していること
H在宅医療に力を入れていること(在宅療養支援診療所)。1年の往診件数は 1400〜1700件。在宅看取り 年に約30人。
Iショートステイでも看取りを可能としていること。年間約5人ショートステイでの看取り
J訪問看護、隣接する社協のホームヘルパーなどの力により、独居でも、重度でも、末期癌でも在宅療養が継続可能であること。
K24時間、連絡可能であること。在宅療養の契約患者・利用者には、医師、訪問看護師、ケアマネが24時間連絡可能であること。◆これまでの研修医・学生の受け入れ実績
・・・学生数には看護学生、リハ学生、栄養士学生も含んでいます
2006年 研修医受け入れ 10名(延べ日数 137日)、学生受け入れ 3名(延べ日数 7日)
2007年 研修医受け入れ 11名(延べ日数 179日)、学生受け入れ 8名(延べ日数 36日)
2008年 研修医受け入れ 10名(延べ日数 148日)、学生受け入れ 14名(延べ日数 111日)
2009年 研修医受け入れ 13名(延べ日数 221日)、学生受け入れ 28名(延べ日数 138日)
2010年 研修医受け入れ 12名(延べ日数 109日)、学生受け入れ 76名(延べ日数 143日)
2011年 研修医受け入れ 8名(延べ日数 193日)、学生受け入れ 34名(延べ日数 176日)◆指導医としての教育方針(日本プライマリケア連合学会 指導医申請に際しての回答) 2012.10
(1) なぜ家庭医療の指導医を担うのか,その経緯と情熱
(2) これまでの教育指導歴があれば,どんな教育経験が自分の教育方針に影響を与えたか,そうした影響のもと自分のコアになっている教育についての抱負
平成5年に診療所に赴任をして19年が経過しました。初期の頃は自治医大の学生のみでしたが、徐々に滋賀医大や他大学の学生が来るようになり、「地域医療」や「全人的医療」に対しての視点がない学生がいることに驚き、また実習を通して「初めての経験だった」「地域医療が楽しいものだった」という反応があり、地域医療や家庭医療の現場を経験することが若い世代に必要であろうと考えました。
「地域包括ケアセンターいぶき」という医療と介護の複合施設を2006年に立ち上げた際、研修医や学生の数もぐんと増えました。大病院から来る研修医は、「地域医療も往診も介護保険も初めて」と答える人が多く、「病気・臓器」だけを見る医師では困ると思いました。どんな専門医を目指すにしても、患者を全人的に診ることができ、家族や地域の背景を知ること、患者の生活を支えるような視点を持った医師を是非増やしたいと考えるようになりました。
プログラムは研修医や学生に、地域のフィールドを見て回り、訪問診療の他、訪問看護、ホームヘルプ、ケアマネ、デイサービス、老健の入浴介助、栄養士、薬剤師などの仕事に同行・体験をしてもらうことで、チーム医療・ケアについて学んでもらえるようにしています。他職種の役割を知ること、そして他職種から見た「求められる医師像」について考えてもらいます。また産業医、学校医、予防接種などの地域の保健活動についても経験をしてもらいます。
研修の振り返りとして毎日の出来事や感じたことをレポートにまとめてもらい、毎日の夕方か、忙しいと週1回、話を聞かせてもらい、体験へのフィードバックをしたり、今後の研修プログラムの修正をしたりしています。同じ研修でも研修医によって受け取り方が全く異なり、拒否をする人もいれば、こちらの期待以上に吸収してくれる人もいます。うまくいかない場合には、当方のプログラムの目的を説明し、研修医とよく話をするように心がけています。
診療所に出てから今までの19年間の経験から、病気の診断や治療については、病院でも学べるので、知識や技術にこだわるよりも、「医の心」を重視して指導しているつもりです。「病気だけをみるな、人をみて、元気になってもらえるためにはどうすればいいかを考え、実践しよう」と伝えています。病院の医療をそのまま地域で実践しようとする研修医が、地域住民に拒絶をされてしまい、うまくいかなかったことがあるからです。住民からの信用を勝ち得るためには、まずは住民を知ること、地域を知ること。そして、若い医師が将来も心折れることなく成長してもらうために基礎となる「こころ(マインド)」について学んでいただきたいと考えています。